株式会社エイゾスは、NEDO事業「次世代低GWP冷媒の実用化に向けた高効率冷凍空調技術の開発」に参加しています

【概要】

株式会社エイゾス(以下「エイゾス」)は、国立大学法人九州大学、学校法人中村産業学園九州産業大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所と共に、NEDO事業「次世代低GWP冷媒の実用化に向けた高効率冷凍空調技術の開発」事業を受託しました。

本事業は、家庭用空調機器を含む様々な機器に適した次世代低GWP冷媒による高効率冷凍空調技術の開発を目的とします。本研究において、具体的にはHFO混合冷媒候補の選定や、熱交換器、圧縮機などの要素機器開発、冷媒の安全性や環境影響の評価モデル開発が含まれ、既存のフロン品と同等以上の性能を実現する事で、温室効果ガス削減とオゾン層保護を両立しうる、環境に優しい冷凍空調技術の社会実装を加速することを目指して2023年より開始しました。

【事業開始の経緯】

冷凍空調機器で使用される冷媒は、これまでオゾン層を破壊する特定フロンにあたるCFCやHCFCから、代替フロンと呼ばれるHFCに転換されてきましたが、代替フロンは高い温室効果を持つという問題があります。代替フロンへの転換の進展による使用量増大に伴ってこれらの排出量が増加していることを踏まえ、現在、国際的な代替フロン規制強化の動きが進んでいます。特に、2016年のモントリオール議定書のキガリ改正においては、代替フロンの生産・消費量の段階的削減義務が新たに定められ、先進国は2036年までに基準年の85%削減することを新たに求められました。また、2050年カーボンニュートラルに向けて、その排出量を実質ゼロにすることが求められています。温室効果ガスの中で排出量が増加傾向にある代替フロンの排出抑制対策は喫緊の課題であり、とりわけ代替フロンに代わる次世代冷媒および機器の技術開発と、その社会実装が急務となっています。

一方、地球温暖化への影響が極めて少ない次世代冷媒候補の多くは、従来のHFC冷媒と同等以上の機器性能とするための技術的ハードルが高く、さらに安全性においても燃焼性、化学的不安定性等の課題があるため、世界的に次世代の冷媒を適用した冷凍空調機器は実用化に至っていません。これは、次世代冷媒の基本特性評価及び次世代冷媒使用時の安全性評価およびリスク評価の標準的な評価手法が確立していないことが大きな原因の一つです。さらに冷凍空調機器分野において、一部では次世代冷媒が適用されているものの技術的課題があることで広く普及に至っていない領域があることも、課題と言えます。

本事業では、代替フロンに代わる次世代冷媒が現在適用されていない家庭用空調機等を対象に、新たな混合冷媒のスクリーニングから適用技術の開発・評価までを一気通貫で実施し、適用機器設計の指針となる基盤技術を確立します。また、家庭用・業務用空調機、業務用冷凍冷蔵機器を対象とした次世代低GWP冷媒適用機器の普及に必要な要素機器・周辺機器の技術開発により、民間企業による次世代低GWP冷媒及び、その適用機器の早期開発および上市を促します。

【研究開発内容】

本事業は、主に二つの研究開発項目から構成されます。研究開発項目の一つ目は「家庭用空調等に適した低GWP混合冷媒の開発及び評価」であり、これまでの関連研究開発事業において得た混合冷媒に関する知見を踏まえ、家庭用空調機に対して実装できるHFO混合冷媒候補の早期絞り込みを実施します。また、実装するHFO混合冷媒に対応できる、熱交換器、圧縮機などの要素機器の設計指針となる基盤技術の開発や、冷媒の安全性、対応機器の環境影響の評価を行うモデルや評価手法などの開発を行います。

研究開発項目の二つ目は「低GWP冷媒の対応機器(家庭用/業務用エアコン、冷蔵・冷凍ショーケース等)の開発」であり、これまでの関連研究開発事業の成果や、本事業における家庭用空調機を対象とした冷媒・空調要素技術の知見を展開し、次世代低GWP冷媒に対応しつつも、現状市販されているフロン品と同等以上の性能を実現する機器及び周辺機器の技術開発を行います。

本事業においてエイゾスは、低GWP混合冷媒対応空調機器について、LCCP(Life Cycle Climate Performance/製品寿命気候負荷)評価手法の開発や、家電需要に関するデータ整備や将来需要推計手法の検討、LCA(Life Cycle Assessment/ライフサイクルアセスメント)評価の実施、低GWP混合冷媒対応機器の環境影響推計の精緻化、およびその削減に向けた施策の検討などにおいて、AIを用いた解析ツールを開発・活用することで、研究開発の効率化を支援します。

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