Multi-Sigma®を用いたMOF開発における目標密度制御と性能最大化の両立

株式会社エイゾスのAI解析プラットフォームMulti-Sigma®を用いて、金属有機構造体(MOF)の開発において、適切な密度と高いCO₂吸着性能を両立する材料の開発を行なった事例をご紹介します。

1.AI連鎖解析 

2. 要因分析 

合成条件の影響構造特性の影響
合成時間 (17–20%):
  最も強い影響、特に長時間での制御が重要
➢CO₂吸着量:
  比表面積細孔体積に強く依存
合成温度 (16–19%):
  時間に次ぐ影響力、適切な温度域の選択が必須
➢密度:
  単位格子体積結晶構造の連結性に依存
酸化状態 (9–12%):
  +2価が安定して良好な結果

3. 多目的最適化 

Multi-Sigma®の最適化機能を用いて、密度の目標値を0.25 g/cm³とし、CO₂吸着量が最大化になるような多目的最適化を実行。
その結果、密度が0.25±0.005 g/cm³で、CO₂吸着量が32.2の高性能を実現する下記の合成条件を発見。

  • 合成温度:174℃
  • 合成時間:408時間
  • 金属種:インジウム
  • 酸化状態:+2価

(注)密度が負にならないように制限を課すため、本事例では、0.25 g/cm³を密度の目標値として設定し最適化を実行。

(注1) データ: Kaggle (https://www.kaggle.com/datasets/marquis03/metal-organic-frame-materials-prediction/data)
(注2) 各項目の単位は次のとおり。密度 (g/cm³)、アクセス可能な細孔体積(cm³/g)
(注3) 温度298K、気圧16barでのCO₂吸着量