Multi-Sigma®を利用した次世代太陽電池材料の探索

AI解析プラットフォームMulti-Sigma®を用いて、無機化合物データを基に形成エネルギーとバンドギャップのAI予測モデルを構築し、それらを連結して多目的最適化を行い、太陽電池材料として有望な特性を持つ化合物を探索した事例をご紹介します。

1.形成エネルギーとバンドギャップ予測 

Multi-Sigma®のAI予測機能では、入力データ(説明変数)と出力データ(目的変数)を用いてAIモデルを学習させ、両者の関係性を捉えたモデルを構築することが可能です。形成エネルギーの予測には、構成元素の電気陰性度・周期・族、密度、体積を用いて、バンドギャップの予測には構成元素の電気陰性度・周期・族、形成エネルギーを用いてそれぞれAIモデルを構築しました。

2. 影響度要因分析 

Multi-Sigma®の要因分析機能では、目的変数に対して 正(及び負)に寄与する要因を特定することができます。
形成エネルギーとバンドギャップのそれぞれに、正・負の影響を与える主要な要因を右図に示しています。

 [形成エネルギーの要因分析]
 [バンドギャップの要因分析]

3. 多目的最適化 

Multi-Sigma®の最適化機能では、望ましい目的変数を得るための最適なパラメータの組合せを提案できます。
•形成エネルギーの最小化(長期安定性の確保)
•バンドギャップ1.5 eV近傍の実現(太陽光スペクトルに対する最適な光吸収特性)
という条件でMulti-Sigma®による多目的最適化を実施した結果、以下の物性値を示す有望な太陽電池材料候補を得ることができました。

形成エネルギーバンドギャップ
-3.754 eV/atom1.528 eV

(注)データ引用元
 https://next-gen.materialsproject.org/api