顧客対談

SWCC様におけるAIを活用した新規巻線製造工程の開発プロセス:エイゾスのMulti-Sigmaを用いたプロセス・インフォマティクス

SWCC様は、Multi-Sigmaを活用した巻線製造工程の開発を行っています。インフォマティクスを担当している森下様、箕輪様(以下、敬称略)とMulti-Sigma開発者である株式会社エイゾスの河尻が対談させて頂きました。

社名:

SWCC株式会社

事業内容:

電線・ケーブル、電力機器部品、巻線、光ファイバケーブル、情報機器用ローラ、免震・制振材、防振ゴム等の製造販売

売上高:

2139億円(2024年3月期)

AIは今後のソリューションビジネス立ち上げに向けてのきっかけ

河尻

お忙しい中、本日はインタビューの機会をいただき、ありがとうございます。早速ですが、御社のAIの取り組みから伺えればと思います。御社の中で研究開発を強化されていく中で、AIをどのような位置づけで捉えられているのでしょうか。

森下

当社は、「AIをビジネスに活用しよう」という取り組みと「研究開発で使おう」という取り組みとの2つに大きく分けています。ビジネスについては、「SWCC Smart Stream(スマートストリーム)事業」という試みの中で、電力事業でAIを使い、様々な予測をしようとしています。例えば、工事現場などで事故があるかどうかの予測ですね。我々は、過去の社内の労働災害のデータから、今後災害が発生する地域や要因をAIにより予測し、注意喚起するシステムを構築しています。このAI技術を使った事業化への展開です。研究開発では、現在、御社にお願いしているようなインフォマティクスを実施したり、生成AIなどを使って、報告書のデータベース化に取り組んでいます。我々は、基盤技術を保有しているので、いろいろな場面でAIを応用できないか、検討している状況です。

河尻

ありがとうございます。御社の中期計画の中で、目指すべきビジネスモデルとして、データビジネスやソリューションビジネスを掲げられています。こちらはどのようなものでしょうか。

森下

はい、「データ駆動型」という形で提唱していまして、蓄積したデータを使って、試作プロセスなどのスピードアップに取り組んでいます。AIやシミュレーションをしっかり使いこなして試作を行い、評価をしていくというサイクルを作ろうとしています。将来的にはそれをソリューションビジネスに持っていけないかということを考えています。まだ少し遠い将来ですけども2030年ぐらいには何らかの事業として立ち上げたいと思っています。

河尻

なるほど。素晴らしい取り組みですね。

SWCC株式会社 執行役員 森下 裕一様

Multi-Sigmaによってインフォマティクスの理解を深めることができる

河尻

では、Multi-Sigmaについて質問させてください。導入を開始された当時の課題や導入のきっかけを教えてください。

箕輪

その当時、マテリアルズ・インフォマティクスに関して、その中身の知識はなくとも説明変数をしっかり揃えていければ、予測できるアプリケーションが徐々に世の中に出てきたという状況だったと思います。当社もそのうちの一つをすでに使用していました。ただ、やはりどうしても「AIのブラックボックス問題」のために、このようなモデルを使っているという説明はあるにしても、依然として中身がよくわからないと感じておりました。実際に解析してみると、「なかなか思ったような結果が得られない」、「我々が取得しているデータをどのように学習させていけばいいのか」、「我々が求めるような適切な答えが得られるようにするにはどうすればいいのか」、といった課題が出てきました。そのようなときにMulti-Sigmaを知ることになりました。Multi-Sigmaはとてもシンプルに出来上がっている一方で、オートチューニング機能で出来上がったいくつかのAIモデルを取捨選択ができるんです。いくつかのパターンの説明変数をセットし、精度の高いモデルを作り上げ、それぞれ比較検討ができるというのがとてもユニークだと思いました。そこまでできると、いわゆるAIはブラックボックスではなくて、「精度の高いモデルだからこそ、このような結果が得られるのだ」といった納得感を持って解析できたというところが非常に大きいです。Multi-Sigmaを使っていくうちに、担当者もインフォマティクスの知識を徐々に深めていけると感じています。

SWCC株式会社 新領域開発センター長 箕輪 昌啓様

「匠の技」からインフォマティクスによるものづくりへ

河尻

Multi-Sigmaを導入した後の効果について実感されている点や期待されていることについて教えていただけますか。

箕輪

期待としては、「社員が目利きになってくれるといいな」という思いがあります。そのプロセスのプロフェッショナルとして、Multi-Sigmaを使っていくことによって、センスみたいなものが磨かれたらいいなと思っています。現状は、まだそこまで至っていない気がします。ただ、実際にMulti-Sigmaを使って、プロセス・インフォマティクスやマテリアルズ・インフォマティクスに人が携わっていくことで、自社のプロセスのブラックボックスだった部分の因果関係が徐々に明確になってきていることを実感しています。これまで職人の技と認識されていたものが、インフォマティクスによって解き明かされ、人のセンスが磨かれていくと、モノづくり人材のレベルが上がってくるんじゃないか、そのような期待感を持っています。

河尻

弊社のサービスであるコンサルティングについての期待と結果についてコメントをいただけますか?

箕輪

このようなインフォマティクスのソフトウェアを導入する際には、コンサル契約を結んでアドバイスをいただいたりします。ただ、今までのコンサルティングという意味では、河尻さんがベストでした。河尻さんは、以前から一緒に取り組ませていただいていたというのがあったのかもしれないですが、我々が困っててどうしたらいいんだろうということに対して、一番ダイレクトにアドバイスいただけて、非常にありがたかったです。今我々はモノづくりをやっているわけなんですけど、実は、匠の技で作っているところがまだ残っています。その部分にインフォマティクスを適用していくことによって、より効率的でより安定的、性能が高いものが見出せる余地があるし、それができるようにインフォマティクスの良いところを引き出してやっていかなきゃいけないなと思います。先ほど森下の話にあった通り、少し遠い将来を見たとき、インフォマティクスそのものを活用することによってそれをビジネスにしていきたいという思いがあります。インフォマティクスをさらに使いこなしてそれを一つのビジネスモデルにしていくとなる際にも、今後も引き続き、エイゾスの経験や助言をいただき、協業できればとてもハッピーだと思っています。

河尻

非常に光栄です。本日は貴重なご意見、ありがとうございました。いただいたご意見を今後の会社のサービスとして取り入れていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いします。

株式会社エイゾス 研究開発部長 河尻 耕太郎