株式会社エイゾスのAI解析プラットフォームMulti-Sigma®を用いて、AI連鎖解析機能により、アスリートの主観的負荷と怪我の発生について分析した事例をご紹介します。
1.AI連鎖解析による主観的負荷と怪我の発生の予測モデルの構築
オランダの陸上チームの7年間(2012-2019年)にわたるトレーニングデータを分析し、怪我の予防に向けた知見を得ることを目指しAI連鎖解析を実施しました。AI連鎖解析は、複数のAIモデルを連結して予測や要因分析ができる、Multi-Sigma®の機能です(国際特許出願中)。

トレーニングログは74名の中長距離ランナー(男性47名、女性27名)を対象としたものです。主観的負荷を予測するため、トレーニング関連の62の説明変数を用いてAIモデルを構築しました。また、怪我の発生を予測するため、主観的負荷を含む63の説明変数を用いて、AIモデルを構築しました。
2. AI連鎖解析による主観的負荷と怪我の発生の予測
Multi-Sigma®による主観的負荷の分析の結果、決定係数R² = 0.669で予測ができました。

Multi-Sigma®による怪我の発生の分析の結果、ROC曲線下面積 AUC = 0.69 で予測ができました。特に怪我のリスクが高いケースの検出に効果的であることが確認されました。

3. AI連鎖解析による要因分析機能
要因分析機能を用いて、主観的負荷と怪我の発生に影響を与える要因を分析しました。その結果、特に高強度トレーニングと代替トレーニングが重要な因子として特定されました。
主観的負荷

怪我の発生

この分析フレームワークは、選手のコンディション管理や怪我の予防に向けた実践的なツールとして活用できます。日々のトレーニング負荷の自動モニタリングや、早期の怪我リスク検知において有用性が高いと考えられます。
(注1)データセット: https://www.kaggle.com/datasets/shashwatwork/injury-prediction-for-competitive-runners/data
(注2)学習データ1000件、テストデータ166件を使用