Multi-Sigma®を活用したアルミ合金の性能予測と
最適な組成比・処理条件の探索

株式会社エイゾスのAI解析プラットフォームMulti-Sigma®を用いて、アルミ合金の組成比と処理条件から機械特性(耐力・引張強さ・伸び)を高精度に予測し、特性のトレードオフを考慮しながら最適な組成比と処理条件を探索した事例をご紹介いたします。

1. Multi-Sigma®による性能予測モデルの構築

Multi-Sigma®を用いて、アルミ合金の組成比(24種類の元素)および処理条件(溶体化処理、人工時効処理、加工硬化などの8種類)を入力として、耐力・引張強さ・伸びの機械特性を予測するAIモデルを構築しました。具体的には、450件のアルミ合金データを学習に用いてモデルを作成し、未学習の50件に対する予測精度を確認しました。その結果、実用レベルの高精度な予測モデルの構築が可能であることを確認しました。

2. Multi-Sigma®による機械特性の要因分析

Multi-Sigma®の要因分析機能により、各元素と処理条件が機械特性に与える寄与度を定量的に評価しました。これにより、複数の特性間でバランスを取った材料設計を行う際、設計上の重要な情報を得る事ができます。

耐力への寄与(抜粋)
引張強さへの寄与(抜粋)
伸びへの寄与(抜粋)

3. Multi-Sigma®による最適な組成比と処理条件の探索

Multi-Sigma®の多目的最適化機能により、耐力・引張強さ・伸びを同時に考慮した最適設計が可能です。最適化の際、組成の合計が100%となり、現実的な処理条件を満たすような制約条件を設定できます。特性間にトレードオフ(強度 vs. 延性)がある場合でも、パレート最適解として複数のバランス解を提示し、設計目的に最適な解を柔軟に選択可能です。また、各最適解に具体的な組成比と処理条件が提示されるため、実用的な材料設計の指針として役立てられます。

(注)データソース: Bhat, Ninad; Barnard, Amanda; Birbilis, Nick (2023), “Aluminium alloy dataset for supervised learning”, Mendeley Data, V1, doi: 10.17632/b6br4yk6r3.1