1. 背景
省エネ性能や製品競争力に直結するモーターとファンの統合設計は、性能のトレードオフが複雑で、開発における大きな課題となっています。シミュレーションと最適化による開発初期段階での性能作り込みが、その解決策として期待されます。
2. 解析データと手法
本解析では、モーター設計(コイル巻数、磁石組成、ブラシ)とファン設計(数、直径、材質)に関する人工データを用いました。カテゴリ変数はワンホットエンコーディングで数値化し、Multi-Sigma®独自の連鎖解析機能を利用。これにより、モーター性能の予測結果を、後段のファン性能予測モデルに直接連携させた解析が可能となります。

3. 予測と多目的最適化
Multi-Sigma®による学習の結果、モーター単体モデル、ファン単体モデル、さらに両者を繋いだ連鎖モデルにおいても高い予測精度が確認できました。
次に、この連鎖モデルを用いて「消費電力・トータルコスト最小化、風速・耐久性最大化」を目的とした多目的最適化をMulti-Sigma®で実行。結果、消費電力36.0W、トータルコスト95.5USD、風速20.0m/s、耐久性7.74年といった、各目的をバランス良く満たす具体的な有望設計案を得ることに成功しました。


4. まとめ
このようにMulti-Sigma®は、複雑なコンポーネントが連携する製品の性能予測から多目的最適化までを一気通貫で実行可能です。設計初期段階での性能シミュレーションと有望な設計案の自動探査を可能にし、開発の効率化と製品価値向上に大きく貢献します。
(注) 本分析で使用したデータは、実際のデータを模した人工データセットです。