Multi-Sigma®を利用した分子設計における水和自由エネルギー予測

株式会社エイゾスのAI解析プラットフォームMulti-Sigma®を用いて、創薬プロセスにおける重要な物性値である水和自由エネルギーの予測・要因分析・最適化を行なった事例をご紹介します。

1.水和自由エネルギーの予測 

Multi-Sigma®のAI予測機能では、入力データ(説明変数)と出力データ(目的変数)を用いてAIモデルを学習させ、両者の関係性を捉えたモデルを構築することが可能です。そのAIモデルを用いて新しい分子記述子からその水和自由エネルギー値を高精度で予測することができます。

2. 水和自由エネルギーに強い影響を示す分子記述子の要因分析 

Multi-Sigma®の要因分析機能では、水和自由エネルギーに対して正(及び負)に寄与する分子記述子を特定することができます。

正の影響が強い記述子
1. SLogP: +4.12%
2. ATS4s: +2.42%
3. ATSC1s: +2.25%
4. Xp-4d: +2.04%

負の影響が強い記述子
1. SlogP_VSA2: -3.29%
2. ETA_dEpsilon_D: -2.72%
3. SMR_VSA3: -2.68%
4. TopoPSANO: -2.50%

3. 水和自由エネルギーを最小化する分子記述子の組合せ最適化 

Multi-Sigma®の最適化機能では、水和自由エネルギーを最小化する分子記述子の組合せを提案することができます。

Multi-Sigma®のAI連鎖解析機能と最適化機能を組合せて、薬剤活性を最大化して、血管障害リスクを最小化する分子記述子の組合せを提案することができます。

期待される効果:
1. 創薬プロセスの大幅な効率化
2. 実験コストの削減
3. 革新的な分子設計の実現 4. 開発期間の短縮

Multi-Sigma®による最適化の強み:
例えばnHBDonについては整数値しか取らないという条件付き最適化も実行できます。
他にも、入力値の範囲を限定させて最適化を実行することも可能です。

(注)データセット: NCIデータベースおよびMoleculeNetから取得した分子データ。Mordredモジュールにより算出した分子記述子を使用